応用情報の勉強法・参考書・選択問題・得点調整の噂を徹底解説!

2018年の10月に応用情報技術者試験を受け、無事合格できました。受験日の2日後くらいにTACなどが解答速報を出してくださるので、それで自己採点した結果、なんとボーダーギリギリ。合格発表までの約2カ月間は結構ドキドキしていました。そんなわけで、これから応用情報技術者試験に挑もうという方に、初学者が2カ月間(基本情報技術者は未受験)で合格できた勉強法、参考書、選択問題の選び方まであらゆるノウハウをお伝えします。ぜひ勉強を始める前にご一読ください。

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午前試験

過去問演習で十分

午前試験は「知識」を4択で問う試験です。この午前試験で6割以上(80問中48問以上)正解できないと、どれだけ午後試験の出来がよかったとしても、午後試験が採点されません!つまり、午後試験の足切りという意味合いが強い試験といえます。

勉強法としては、大きく2つに分けられます。まずは、すでに基本情報技術者に合格している場合またはそれと同等の知識を持っている場合です。このときは、いきなり過去問演習を始めることをおすすめします。というのも、基本情報技術者試験より若干難易度が上がった程度だからです。過去問を数回分ほど解いてみて、安定して6割(できれば7割)を超えていれば、全く問題ありません。午後試験の勉強に移りましょう。

もう1つは、知識がほとんどない(6割を大きく下回るレベル)場合です。この場合は、知識をインプットするための参考書をまず1冊購入することをおすすめします。その後、過去問演習をひたすら行って、知識を確認・補充していきましょう。午前試験は、過去に出題された問題の流用が多く、過去問演習が一番の対策になります。別途、予想問題集を買う必要性はありません。もちろん、初めて出題する論点や高度試験からの流用もありますが、6割を取れればOKです。心配すぎて夜も眠れない!という方でなければ、過去問演習(直近5回分程度)で十分でしょう。

合格教本の感想

有名な参考書として、技術評論社の「応用情報技術者 合格教本」があります。実際に私も使っていました。

情報量が圧倒的でガス欠の恐れあり

全部で700ページ近い分量があり、余白スペースにも「補足事項」が多数記載されてます。あまりの多さに初学者は圧倒されてしまいます。「広辞苑みたいに膨大なこの参考書を全部覚えないといかんのか…」と私は感じました。これをやれば午前試験は完ぺきになるとはいえ、あまりにも道のりが険しいと、モチベーションが失われかねません。ただ、一気に完成レベルまで持っていきたいという方には、この「合格教本」を最初の1冊に選んでも大丈夫です。

覚えやすくも覚えにくくもない

図解が随所に用いられており、スペースも適度にあります。そのため、「文字だらけで読む気が起きない!」という事態は考えにくいといえます。「POINT」として箇条書きやリストでまとめられているのも◎。ただし、「表」がほとんど使われておらず、類似内容や対比している事柄の整理がしづらいのが難点です。また、暗記のコツは「理解して覚える」こと。用語問題は致し方ないとしても、事実や特徴の羅列で終始している点が多々見受けられたことは残念です。

重要なところが分かりにくい

情報量は素晴らしいのですが、イマイチ重要度が分かりにくいです。午後試験にも出題される論点なのか午前試験のみかを示す程度しか分かりません。出題頻度に関わらず、用語であればほとんど赤字で強調されていますし、一方で、地の文は重要なところであっても黒字だったりします。一応、脇のスペースに「重要」と書かれた吹きだしがありますが、他の「参考」や「用語」といった吹きだしに紛れていて分かりにくいことこの上ありません。「参考」であるのに、頻出論点だったりもします情報量が多く、かつ重要度によって明確に区別がないため、ハッキリ言って非効率です。試験対策用の参考書というよりは、試験範囲の知識を広くまとめた本といえますね。応用情報技術者としては知っておくべき知識なのでしょうが、「試験に短時間で合格する」という至上命題がある以上、おすすめできません

初学者には「ニュースペックテキスト」がおすすめ

というわけで、午前試験用の参考書としては、合格教本はおすすめしません。その代わり、TAC出版の「ニュースペックテキスト 応用情報技術者をおすすめします。資格のTACだからこそ、重要論点に絞られていますし、フルカラーで読みやすいです。ちなみに、最後の仕上げとして、合格教本を活用することはアリでしょう。

午前試験のポイント

ビット?バイト?」「計算する対象は何か」などを意識し、ケアレスミスに気を付けましょう。試験時間は150分と短くはありません。過去問と似たような問題を見ても、早とちりは禁物です。計算問題の場合、もし時間に余裕があれば、どう計算したら他の選択肢が導かれるのかを考えてみてください。もしかしたら、勘違いやケアレスミスに気付けるかもしれません。また、聞き慣れない用語問題(とくにCRMといった略語問題)では、英単語の知識が地味に活きます。諦めずに頑張りましょう。

午後試験

記述問題では、正しい理解と国語力が問われる

応用情報技術者試験は、記述式の午後試験が本番です。午後試験の特徴としては、大問11題から5題を選択するスタイルが挙げられます。問1のセキュリティは必須ですが、残りの4題は問2から問11から自由に選択できます。また、問題の形式としては主に4種類あり、用語を書かせる「用語問題」、選択肢から正しい用語または説明を選ぶ「選択問題」、プログラムを穴埋めする「プログラム問題」、指定字数で事象の説明をする「記述問題」です。

記述問題といっても、10字~40字程度なので身構えなくて大丈夫です。用語問題や選択問題であっても、午前試験を突破できる知識量があれば大して恐れることはありません。午後試験では、午前試験ほど知識の「広さ」は必要ありませんが、その代わりに知識の「深さ」(正しく理解できているか)と「日本語力」が問われる試験です。例えば、FWについて考えてみます。午前試験レベルでは、FWとは、パケットの通過/遮断をして安全性を高める機器という認識で十分でしょう。しかし、午後試験となると、そんな浅い知識では歯が立ちません。IPやポートでフィルタリングしているため、「Webサーバなどインターネット上に公開しているサービスと同じ宛先IPと宛先ポートの場合、FWはそのパケットを通過させなくてはいけない」ことが分からないといけません。このように、午後試験で問われる知識は、午前試験よりも深いのです。

また、応用情報技術者試験は「国語」の試験とも言われます。これは、記述問題の解答根拠が問題文中にあることが非常に多いためです(デッドロックなどテクノロジ系に関するものは除く)。そのため、大問1つにつき3ページほどある問題文を速く正確に読み解くことが必要不可欠といえます。なお、試験時間は午前試験と同じく150分です。5題で150分なら余裕そうに思えますが、実際は6~8題解くことになりがちです(より出来のよい問題を選択するため)。となると、1題につき20分が目安となります。取捨選択のスピードを上げるために、まず設問をみて記述問題の数・知識問題の内容を把握し、解くかどうか判断するクセをつけましょう。

本文は一気に読み、キーセンテンスを〇で囲むべし

問題文は読み飛ばさずに、最初に1通りザッと読むことをおすすめします。その際、キーセンテンスを丸で囲んでいきましょう。基本的に余計なことは問題文中に書きません「なんでわざわざこんなことを書いているのか?」と疑問に思う箇所は、設問に関わってくるケースが大半です。過去問演習を積んでいけば、キーセンテンスが次第に分かってくるはずですよ。また、本番はもちろん紙媒体です。電子媒体とは全く感触が異なりますので、少なくとも1回は実際に紙で演習することをおすすめします。とくに、キーセンテンスを丸で囲む練習をしましょう。ちなみに、設問を読んでから、答えを本文中から一つ一つ読み探すやり方を薦める方もいらっしゃいますが、私はおすすめしません。結局、あちこちを何度も読み返すことになってしまい、無駄が多いからです。さらに、各設問の解答根拠が1箇所に集まっているとは限りません

もしも、字数制限より10文字以上不足(指定が15文字以下なら5文字以上不足)している場合、拠が間違っているまたは根拠の漏れが疑われます一度、丸印を全て確認したり、他の設問にヒントがないか注意を払ってみましょう。ただし、事実上の抜き出し問題は例外です。10文字以下の指定でも答えが3文字だったりします。それでも解答に行き詰まった場合、そもそも本文中に直接根拠がないかもしれません。とくに、ネットワークやセキュリティなどクノロジに関する設問はこの傾向が多いといえます。数分考えても分からなければ、いったんスキップすることが大切です。決して深入りしてはいけません。後から見直してみると、視野が狭くなっていないため案外すぐに分かったりします

なお、本番の解答用紙は、問1から問11までそれぞれの解答欄があり、選択した4題に○をつける方式です。そのため、採点してほしくない大問には○を付けなければよく、解答を消す必要はありません。ですので、「途中まで解いてみたけど、やっぱり選択するのはやめよう」と思っても、途中まで書き上げた解答は消さないで残しておきましょう。もしも、他の大問がもっと出来が悪いor時間不足となった場合の保険になります。

午後試験の勉強法

午前試験とは違い、午後試験には過去問の流用がほとんどみられません。そのため、過去に出題されたことを丸暗記しても再現性に乏しいです。また、各大問のテーマを予想することも困難です。そこで、過去問演習では、解法や着眼点を会得することにこだわりましょう。解法や着眼点には再現性があるためです。その練習のための参考書として、アイテック社の「午後問題の重点対策」が有名です。ただ解説を載せただけの過去問集ではなく、解法や着眼点を指南してくれる数少ない書籍で、各大問ごとの傾向や対策についてもしっかりと記述されています。しかし、その他の参考書よりはマシというだけで、期待値を高く持ちすぎないようにしてください。

ちなみに、問3のアルゴリズムと問6のデータベースを選択しなければ、プログラム問題を回避することも可能です。プログラムのできないIT屋はいかがなものかと思いますが、プログラムがまだ苦手でも十分戦うことができる試験です。これは、基本情報技術者試験より有利な点でしょう

得点調整は本当にあるのか検証してみた

TACなどの解答速報では、記述問題が2~3点と予想されることが多いですが、実際は4~6点あるはずです。「自己採点結果と大きく異なる」という声がネット上で多々あがってますし、私もそう感じています。大問1題の得点はどれも20点ですが、大問1題を構成する小問の配点はブラックボックスです。合格率を20%少々に抑えるために配点の調整や記述問題の部分点調整を行うことは十分考えられます。用語問題や選択問題では正誤判定の調整は不可能ですが、記述式では部分点という形でできます。そのため、解いた記述問題が多いほど得点の変動幅が大きくなり、試験終了後にモヤモヤが残りがちです(とくにボーダーラインの場合)。

そこで、自己採点結果と開示結果の違いを少し分析してみました。

H30秋期
問1<セキュリティ>最後の記述1題のみ誤り
問2<経営戦略>満点
問5<インターネット>記述2題のみ誤り
問7<組込みシステム開発>満点
問11<システム監査>記述1題と選択問題1題のみ正解(※ここだけ爆死しました)

TACの配点はガン無視し、記述の配点を5~7点(他の小問数や大問における記述問題の数で前後)としました。また、部分点はなしで「まあ似たようなニュアンスだから◎で良いだろう」もNG。例えば、「送信元PCのIPアドレスがロードバランサのものになるから。(H30秋期問5)」が正解の場合、「送信元PCのIPアドレスが変わってしまうから」も×としています。記述問題は確実に同じというもののみ正解という厳しめ採点で行いました。

その結果、誤りと判断した記述式の設問は4問で、自己採点は66点。これに対して、開示結果は70点でした。記述問題が1問正解とされた可能性や部分点の可能性もありますが、記述問題の配点を1点ずつ引き下げ4~6点とした方が個人的にはしっくりときます(さすがに5~7点は露骨すぎ?)。結局、主観でダラダラ述べただけですが、とりあえず記述問題(用語問題除く)の配点が2点というのは考えにくいです。ちなみに、TACの解答速報通りの配点で採点したら、8割になってしまいました。

というわけで、自己採点の際は、記述問題は4~6点、用語問題を1~2点、選択問題を2~3点の配点で計算してみてはいかがでしょうか。記述問題の採点では、部分点は無しで厳しく採点してみてください。おそらく実際の得点が自己採点を大きく下回った人は、「配点がおかしい」「記述の採点が甘い」「勝手に部分点を入れている」ことが考えられます。「59点で落とされた!得点調整だ!」と憤る声を見受けますが、普通に59点はたくさんいると思います。ボーダーライン前後に受験者は密集する傾向にありますし、受験規模がそもそも何万人単位です。60点の人の10倍以上も59点がいるレベルであれば話は別でしょうけどね。逆に大幅に上がった人は、「記述の採点が厳しすぎた」「その年の難易度が高かったため部分点が入った」のかもしれません。

選択問題のポイント

お伝えしたとおり、午後試験の4題は選択問題です。大問によって難易度がかなり違うことも珍しくありません。しかしながら、大問の配点は平等に1題20点です。つまり、解きやすい大問を見極める選球眼も試験合格に欠かせない能力といえます。といっても、問1から問11まで全範囲の勉強をすることは大変ですし、非効率的です。そこで、学習戦略として重要な点は、どの6題(うち1題は必修)を解くか予め決めておくことに尽きます。難易度が変化することを考慮して、予備として1題はカバーしておきたいところです。

おすすめしたい選択問題

問1:セキュリティ(必修)

必修問題のため、選択という余地はありません。用語問題がよく問われるため、様々な攻撃手法・FWなどセキュリティ関連の知識は徹底的にインプットしておきましょう。とくに、FWの働き、公開鍵暗号・共通鍵暗号・認証の原理、ハッシュ関数(不可逆性)などの特徴はしっかりおさえておくこと。

問3:アルゴリズム

プログラムが全くできない場合を除き、ぜひ選択してほしい問題です。テーマが毎回全く異なるため、予想は極めて困難な大問です。ただ、出題形式は非常に安定しています。ほぼ毎回プログラム問題のみ出題され、記述問題がありません。そのため、得点のぶれ幅が極めて少ないといえます。一方、全体を理解できないと解けない問題であるがゆえに、理解が間違っていると最悪0点のリスクが付きまといます。そのため、見切りの速さがとくに求められます。

しかしながら、取っ付きにくい難解なテーマが多いものの、具体例を用いながらプログラムの動作について説明してくれる場合が多く、冷静に落ち着いて文章を読んでいけば答えに辿り着けるケースがほとんどです。ですから、if/for/while・変数代入・配列・ポインタ構造体リスト/ソートといった基礎的なアルゴリズム及びプログラミング知識さえあれば、特段勉強することはありません。

問6:データベース

出題形式が非常に安定しています。また、記述問題が少ないので得点も安定します。ただ、SQLに関するプログラム問題が誤っていた場合、10点近くサヨナラするリスクがあります。試験本番までにSQLに自信をもてなければ、諦めましょう

問7:組込みシステム開発

この問題は絶対に選択してください。テーマこそ違えど、出題形式が毎回同じで再現性が極めて高いためです。デッドロックやセマフォなど排他制御に関する知識を中心におさえれば問題ありません。記述問題が1~2題ありますが、問題文中にほぼ間違いなく根拠があるため、正解しやすいのもポイントです。ただし、問3と同じで全体を理解できないと解けない問題のため、見切りの速さが大切です。

問11:システム監査

カバー範囲が非常に狭く、出題形式も比較的安定しています。記述問題がほとんどですが、問題文中にほぼ間違いなく根拠があります。

おすすめしない選択問題

問4:システムアーキテクチャ

カバー範囲が広く、出題形式が安定しません。また、計算問題が多く、時間が大量に失われます。それで、計算ミスしていては目も当てられません。さらに、問題文も非常に長文で設定も複雑です。

問2,9,10:ストラテジ/マネジメント系

カバー範囲が広く、出題形式が安定しません。総じて記述問題の数が多く、本文中に明確な根拠がないことも珍しくありません。また、難易度の変化が激しいことも特徴です。しかし、裏を返せば、難易度が簡単なときであれば、得点源のチャンスにもなり得ます

残りの+αは、各自の状況に合わせて選んでください。例えば、

・過去問で問1から問11まで一度全部解いてみて、得意そうな問題(この記事のおすすめに関わらず)
・高度試験を受ける場合、その範囲の問題。例えば、ITストラテジストを受けるなら問2、ネスぺなら問5。

といった感じです。とくになければ、問5か問8の一方、とくに問5のネットワークにしましょう。出題形式こそ安定しませんが、出題のポイントは比較的安定しているため、過去問演習による再現性が高いといえます。生じた事象を理解したうえで、その原因について答える記述問題が数問出題されるため、ロードバランサやDNS(キャッシュが残ること等)、ネットワークなどの基礎知識をおさえておきましょう。問8の情報システム開発よりは、実生活にも役立ちますしテーマも馴染みやすいはずです。

問題選びの軸
・得意分野、興味のある分野
・今後の高度試験に関わる範囲
・記述問題の少なさ:確実性が上がる
・文章を読めば何とかなる
・再現性の高さ⇔出題形式の安定度

最後に

本番では、予め決めた問題+αを解いていくわけですが、上手くいかないことも当然考えられます。その際は、予め決めた問題以外もチェックする姿勢を忘れないこと。もし変更した場合は、解答用紙の○印を変えることもお忘れなく。

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